『思い出のマーニー』
スタジオジブリ、宮崎監督引退後一作目。スタッフロールに川上量生がおったのはさておいて、中身です。
一言で言うと面白かった。両親と死別した主人公が、喘息の療養で訪れた北海道の片田舎で、誰も住んでいないはずの入江の廃別荘で、マーニーという少女と出会う。
マーニーとの「秘密」のふれあいの中で主人公はだんだんと明るさを取り戻し、そして自身のルーツを知る。ちょっと明るくなって帰っていく主人公、という感じ。マーニーかわいい。杏奈は12才かー
ネタバレは特に意識しないで思った事をつらつら書くけど、映画のポイントは「絵」でなく「環」でいい気がする。
杏奈(主人公)は自分の事を「環の外に居る人間」だという。環とは恐らく人との付き合いの輪であったり、先祖に繋がる連環としての親と断ち切れてしまったという意味での「環の外」という意味でもあると思う(杏奈は親と血がつながっていない事を異様に気にしており、その事で親の行動を作為的に受け取ってしまっている。要は親の愛情を嘘くさいと思っているみたい)。
対するマーニーは環の中に閉じ込められた少女。それは遺された日記に書かれた行動を繰り返す存在という意味(――私は永久に待っている――)と、あまり幸せでなかった子供時代の環(家族)に囚われ苦しんで死んでいった女性という意味で。
その二人が丸い入江=破けた環の中で出会い、一人はマーニーと出会う事で環を少しずつ作り始め、一人は杏奈との出会いから環を少し破るという形は整っていると思う。環はいつでも破けるし、作れる。
「思い出のマーニー」という名前の通り、最後に語られるマーニーの一生を聞くと、悲しい祖母の一生を聞き、その中に隠れていた孫娘への思いを受け取り、復活していく杏奈の物語という印象を受けるけど、マーニーもまた救われている。環である以上、巡った思いは過去にも届くはずだ。最後、離れていく杏奈に手を振ったマーニーは紛れもなく、杏奈と同い年だった少女だったんだと思う。
でも、「思い出」って誰の思い出なんだろう? それとも何の思い出なんだろう?その辺りは、マーニーに抱き付かれて赤くなっている杏奈を見ていたらどうでもよくなった。
音楽が良くて、まったり心地よく見れた。絵もいい。この辺りはさすがジブリって感じ。
ブログってなんとなくつらつら書くにはいいのかも。