眠るまでに見た夢のこと

眠るまでに眼に映った事聞いた事、読んだ本やった事行った所思った所を書きます。時々、眠った後に思ったことも書きたい(願望)

『たったひとつの冴えたやりかた』を読んだ

久しぶりにSFを読みました。多分SFを読んでない人でも知ってる超有名作。

 

 やった!これでようやく宇宙に行ける!16歳の誕生日に両親からプレゼントされた小型スペースクーペを改造し、連邦基地のチェックもすり抜けて、そばかす娘コーティーはあこがれの星空へ飛びたった。だが冷凍睡眠から覚めた彼女を、意外な驚きが待っていた。頭の中に、イーアというエイリアンが住みついてしまったのだ!ふたりは意気投合して〈失われた植民地〉探険にのりだすが、この脳寄生体には恐ろしい秘密があった…。元気少女の愛と勇気と友情をえがいて読者をさわやかな感動にいざなう表題作ほか、星のきらめく大宇宙にくり広げられる壮大なドラマ全3篇を結集!

 

との事。

 

筋書が示す通り(そしてかわいい表紙が表す通り)超王道のスペースファンタジーです。

時々酔った時に友達と「SFを読んだ事のない人に勧めるなら?」と言う話をする事があり、私は大抵『夏への扉』や『星を継ぐもの』『あなたの人生の物語』『ユービック』(海外ばっか……)なんかを薦めるんですが、その中にこれも絶対入ります。

 

表題作である『たったひとつの冴えたやりかた』は、危機に陥った少女がそれを解決するためにまさにこれしかない、という物を選ぶんですが、この辺りはゴドウィンの『冷たい方程式』と似通ります。冷たい宇宙空間での未知との遭遇によって引き起こされる友情と残酷さ、そして少女の素直な気持ちが読者の切ない気持ちを誘う……と何だか今書くとうさん臭ささえ感じるベタベタな褒め言葉が似合うSFです。

 

他の二編も、宇宙を股にかけて冒険する男の初恋の女性との再会と別れや、宇宙人とのファースト・コンタクト、といったベッタベタの宇宙SF物が揃っていて、全部面白い。宇宙SF見本市みたいな感じです。勿論もっと色んなのあるんですけども。

 

さらに良いのが訳。浅倉久志さんの訳は軽妙でわかりやすく、雰囲気が良く伝わってきます。『衝突』で行われるファースト・コンタクトで宇宙戦争の危機を迎えてしまった宇宙人とヒューマンの片言コトバでの必死の交渉のテンポの良さと、それと相反するようなもどかしさは中々出せないと思います(原書を読まずに何を言ってるんだ私は)。

 

面白いSFが読めて楽しい気分でした。