「チャリオンの影」を読んだ
半ばラノベ読書記録とかしていますが、今回はファンタジー。
- 作者: ロイス・マクマスター・ビジョルド,鍛治靖子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2007/01/30
- メディア: 文庫
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戦の末に敵国の奴隷となり、身も心もぼろぼろになって故国に戻ってきたカザリル。運良く少年の頃に仕えたバオシア藩で、国主の妹イセーレの教育係兼家令に任ぜられた。だが、イセーレが弟と共に宮廷に出仕することになったため、カザリルも否応なしに陰謀の渦に巻き込まれることに…。五柱の神々を崇める国チャリオンを舞台にした、ビジョルドの異世界ファンタジー三部作開幕。
との事。
この筋書きでドキドキするかが分かれ目なんですが、僕はとてもドキドキしました。衝動買いしましたが、買った甲斐があった。
元々SF畑の作家という事ですが、とても練られている世界観は「浸る」という表現がぴったりで、とても面白いです。ディティールに凝ってる。一言で説明してしまうのも良いですが、ちゃんと書いていくスタイルも小説にしか出来ない「緩やかさ」みたいな物があって良い。
中世のスペインが下敷きになっているとの指摘があり、異教徒の侵攻に晒される内陸の王国が舞台です。決して恵まれた人生を送れなかった主人公が、泥濘を掻き分け生き抜いた経験を武器に旧恩に報いるべく奮闘します。異世界ファンタジー、魔法ありですが、魔法で万事解決というわけでもないです。
この徹底的に地に足ついた世界観がとても欲しい。布や食べ物一つをとっても安定感というか、「それっぽさ」というか。魔術の儀式のシーンなど見た事もないのに「これは人を殺せそうだ」とか思えます。後、女性陣がとても逞しい。男なりせば、なんて言葉もありますがこの物語では女性がとにかく逞しく美しいです。久しぶりのファンタジーでしたが、とても楽しい読書でした。
では~