雑記 読みかけの『いちばんここに似合う人』と、新人賞とかそういうの
たまには雑記が書きたくなりました。
この前講談社ラノベCCの二次発表があり、残念ですが落ちていました。下読んでもらった方の評判は良く、自分自身今までで一番良く出来ていたと思うので滅茶苦茶悔しく、自分なりに問題点を感じた個所を再改稿してどこかに出したいと思います。主人公造形を変えればそれなりに(評価が)良くなると思う箇所があるので。
それと同時に新作。中々納得行けるのが書けていない日々が続いていたんですが、近頃ようやっと「ふんふん」と思いながら書けるようになってます。「ふんふん」ってこれ如何にって話なんですが納得、というか理解、ようは「お前これ何書いてるんじゃ?」という感覚に陥らないという状態です。
僕はキャラを走らせる事がとても苦手で、背景、設定、そういう物を滅茶苦茶に書き込みたい癖があり、それを過度に忌避して薄っぺらいキャラとよくわかんない世界設定をやっちまうというのがよくあるミスだと自分では思ってます。重すぎて世界を処理しきれないというか。要素をもう少し削ろう、みたいな。
そういう時は設定もキャラも捨てて、言葉だけで書いてる、勢いだけで書いてるみたいな本を読みたくなります。
- 作者: ミランダ・ジュライ,岸本佐知子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/08/31
- メディア: ハードカバー
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水が一滴もない土地で、老人たちに洗面器一つで水泳を教えようとする娘(「水泳チーム」)。英国のウィリアム王子をめぐる妄想で頭がはちきれそうな中年女(「マジェスティ」)。会ったこともない友人の妹に、本気で恋焦がれる老人(「妹」)―。孤独な魂たちが束の間放つ生の火花を、切なく鮮やかに写し取る、16の物語。カンヌ映画祭で新人賞を受賞した女性監督による、初めての小説集。フランク・オコナー国際短篇賞受賞作。
古本屋で見つけてこの筋書き、この装丁が最高にクールだと思って昔買いました。昔って本当に四年くらい前、まだ僕が大学生で本を読みながら酒を飲むのが好きなのか、酒を飲むために本を読んでいたのかわからない時期で。
――あなたはいま怒っている? だったら枕を殴ってみよう。すっとした? 全然よね。現代人の怒りは枕をパンチしたぐらいではとても収まらない。だったらいっそ刺してみよう。古い枕を出してきて、庭の芝生の上に置く。それを大きなとがった包丁で突き刺す。何度も、何度も、何度も。包丁の先が地面に届くぐらい強く刺す。しまいに枕がなくなって、ただ地面だけになっても、刺して、刺して、刺しつづける。まるで回りつづけているこの地球が憎くて殺してやりたいみたいに、まるでこの星の上でくる日もくる日も独りぼっちで生きていなければならないことに復讐するみたいに。
ミランダ・ジュライ『いちばんここに似合う人』内「共同パティオ」(p12)――
地球が憎くて殺してやりたいみたいに、と怒りや虚しさを連ねた個人的な言葉から突然世界が飛び出てくる、引っ張りだしてくる。飲み込む。この勢いというかスケールのデカさがたまらなく好きで、詩的。映画監督だからかわからないけど、静止画を切り取るような描写が多くて、イメージが良く出来る。作者も訳者も上手いなとひたすら思いながら読んでます。
詩を最近読んでなくて、読みたいなと思うのは多分本当に悔しかったからだろうなー
では。