「マザーズ」
三人の女達、というより、母達の話。いや、母に飲み込まれていく女といえばいいのか。
夫との関係がうまくいかず、不倫を続ける母、周囲から無理解に苦しみ孤独な育児の中で虐待に走ってしまう母、作家として成功しながら、それ自体に苦しむ母。
無垢の存在とか、愛くるしい存在、希望、そういった概念みたいな子供じゃなくて、もう徹底的に「モノ」として子供が母達に迫ってくる。コミュニケーションは取れないしわがままだし手がかかるし、周囲からの無理解や孤独をむしろ増してしまう原因となる。女としての自由を破壊してくる。子供が徹底的に母になった女達を追いつめていく。それぞれの母達の内面の吐露がとてもうまかった。