『屍者の帝国』を観た
10月の始めに公開されたと思ったら一カ月で終了。最近って早いんですね。
屍者復活の技術が全欧に普及した十九世紀末、医学生ワトソンは大英帝国の諜報員となり、アフガニスタンに潜入。その奥地で彼を待ち受けていた屍者の国の王カラマーゾフより渾身の依頼を受け、「ヴィクターの手記」と最初の屍者ザ・ワンを追い求めて世界を駆ける―伊藤計劃の未完の絶筆を円城塔が完成させた奇蹟の超大作。
原作本の紹介分を抜いてきました。
主人公はワトソン。ホームズの相棒のワトソン君です。護衛のバーナビー、旅の記述者にして屍者フライデー、謎の美女ハダリーと共に世界を駆け巡ります。
屍者は発明されてから全世界に伝播しましたが自我はなく、最初の屍者ザ・ワンのみが自我を持ち得た。科学者のワトソン達はその秘密が書かれているであろう「ヴィクターの手記」を巡り旅に出かけ、そこでのグレート・ゲームを描きます(すみませんグレート・ゲームの意味わかってない使ってます)
原作との相違としては、一番大きな所は屍者フライデーが主人公ワトソンの親友(場合によってはそれ以上の感情を持っていた)であるという所です。
何分原作を読んだのがかなり前なので再読してからもう一度感想を書き残したいなと思うんだけど、一応備忘的に感想を羅列したい。
・絵はもうめちゃくちゃ綺麗。音楽も良し。フランケンウォークも素晴らしい。これだけで価値がある。
・スチームパンク的な世界感がすげえ良かった
・フランケンシュタイン博士の屍者技術が発達した世界という設定だけでムネがドキドキになる。これだけでこの作品は大勝利だし、この点でこの作品は伊藤計劃が素地を作ったと言いきれる(原作は序盤30pだけしか彼が書いた部分はないのですが)
・フライデーとワトソンの友情が根幹に据えられた。知的探求というより、フライデーともう一度話したいという友情が主人公を突き動かす
・こうしないと二時間で収められなかったのかもしれない
・様々な説明が原作にはあったが、かなりハショってるので原作未読だと最後の展開に追いつけない気がする。というか追いつけない。それを全部絵でカバーしてる。
・Mの最後の台詞が「サイボーグ009」とちょっと被っていた。全世界がどうとか人間の自由とか、そういう話だったんだっけ?
・だがとにかくハダリーが美しい
少し詰め込み過ぎなきらいはあったけれど、美しい映像が見れて良かったです。でもどうせワトソンとフライデーの友情に焦点を当てるなら、そこをもっと掘ってほしかったなぁというのが正直な感想です。
友人の屍体と共に魂を求めてアジアをさまようワトソンの苦悩と知的欲求。
ヴィクターの手記をめぐるカラマーゾフの決断。
豪放磊落ながらぽろっと深い言葉を言うバーナビーのかっこよさ。
魂を欲する美女ハダリーとワトソンの絡み。
斬鉄をするブシドーヤマザワと屍者化した大村益次郎(なぜカットしたし。絶対に観たかったんですが)
花嫁を復活させようとするザ・ワンの醜悪だが純粋な慕情
もっと欲しかった。面白くないわけじゃない、もっと長く観たかった。出力されるフォーマット(画、音楽、声優)は最高に良かったのでなおさら。
二部作とかにしてもいいから、そんな作品でした。
原作読みなおそう。
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