眠るまでに見た夢のこと

眠るまでに眼に映った事聞いた事、読んだ本やった事行った所思った所を書きます。時々、眠った後に思ったことも書きたい(願望)

『世界の終わりの世界録1』を読んだ

ファンタジーを読みたいと思って買いました。後絵が綺麗だったので。

 

 伝説の英勇エルラインが遺した、世界の終焉と再来とを記した至宝「世界録」。その在り処を世界中の国や旅団が探し求める世界録大争奪時代―騎士志望の少年レンは、彼の英勇生き写しの容姿ながら剣才に恵まれず「偽英勇」とバカにされる日々を送っていた。そんな彼の前に現れた、封印より目覚めし伝説の竜姫キリシェ。レンをエルライン本人と勘違いし、外見だけだと失望したキリシェだったが、一方でレンの中に秘めた可能性を見出すことに。そして、かつて英勇と共に世界を救った大天使フィアや先代魔王エリーゼとの世界録をめぐる旅へと少年を誘う。「わたしと、行くか?」―これは、英雄たちが奏でる狂騒への序曲。今、偽英勇の少年と伝説が邂逅する!

 

との事。まだ一巻なんでなんとも言えないんですが、戦士達の職業分けや剣聖とか最強の旅団とか、わくわくする単語を使うのが上手いなーと思います。後主人公がまっすぐ努力するタイプの子で、最近だと希少種になってしまったタイプです。好き。

 

戦闘がご都合主義すぎるとか、そういう声は聞こえない。やっぱり頑張った主人公が報われるのがファンタジーです!

『たま高社交ダンス部へようこそ』を読んだ

スニーカー文庫新人賞作品。スニーカーを読んだのはとても久しぶりな気がします。

 

 

たま高社交ダンス部へようこそ (角川スニーカー文庫)

たま高社交ダンス部へようこそ (角川スニーカー文庫)

 

 個性的なメンバーが活動するゆるーい部活「社交ダンス部」に入部した雪也は、だんだんと社交ダンスの楽しさにのめり込んでいく!そんな矢先、部活の統廃合を賭け、競技ダンス部と対決することになり!?

 

との事です。ストレートな青春小説で、楽しく読めました。

楽しい事が見つけられない主人公が、社交ダンスと出会い、その面白さに目覚めていく……捻りや外連味は一切ない王道青春小説って言っていいと思います。

扱っている題材こそマイナーだけれど、作中に説明がわかりやすく、しかも金髪の可愛い留学生がしてくれるので安心です。これ結構難しい事だと思うんですが良く説明してくれてます。

 

気になる所と言えば女装に目覚める主人公の親友の将来とかなんですが……いいやw

 

文章も読みやすく一巻で完結。爽やかな気分で読み終われました。 

『ジュラシック・ワールド』を観た

小学生から中学生の時に恐竜にドハマリしていた時期があって、その時確か『ジュラシック・パーク』シリーズを何度も見た記憶がある。

冒険にわくわくして恐竜がかっこよくて怖くて、ハッピーエンドと音楽に高揚しながら映画館を後にする! みたいな。

 

大冒険する映画を最近全然観なくなってたのも相まって、滅茶苦茶面白かった。ヒロインのお姉さんの服装がとてもエロいとか、子供の時どうでも良い所に感動してしまったのは自分の年齢を感じてしまった。


映画『ジュラシック・ワールド』第2弾予告編 - YouTube

 

観るなら設備ががっつり整った所で観るべきだと思う。IMAXを舐めてはいけない。

前3作では敵でしかなかったラプトルと共闘(!)したり、恐竜を軍事利用しようとする大人たちが出てきたり、前のような単純な恐竜ワールドでの生き残りゲームではなくなってるけど、家庭に問題を抱える家族、「好奇心」の塊の恐竜が大好きな子供、ロンリーな男等、シリーズのお約束みたいな要素は外してないし、ちょっと第一作の舞台とかも出て来て昔からのファンへの配慮もありました。

 

 

ドキドキワクワクのスリル映画でした。良かったー

 

 

 

『野火』を観た

 

『野火』と言えば大岡昇平。僕が高校生の時の教科書に『俘虜記』が乗っていて、他にも村上春樹夏目漱石のこころなんかが乗っていたけど、一番面白かった記憶がある。大事な事なので二回言うけど、面白かったのだ。

 

俘虜記(新潮文庫)

俘虜記(新潮文庫)

 

 

 

野火

野火

 

 

それで『野火』も読んで、高校の時に読んで心に残った本は多分大岡昇平のこの二冊以外じゃ無いって言ってもいいくらいだった。ごめん嘘、ハリポタとかダン・ブラウンも面白くて覚えてるし、こころも微妙に覚えてる。後は『沈黙』とか。あ、意外とあったわ。まあいい。で、塚本監督の『野火』である。

 

 


映画『野火』特報 - YouTube

 

野火は大岡昇平の戦争体験を元に書かれた極限状態に置かれた一兵卒、田村の物語だ。肺病みになってしまった田村は元居た隊からはつまはじきにされ病院(クソみたいな設備の所だけど)に行けと命じられるが、病院でも彼より死にかけの人間は沢山居て追い出されてしまう。彼は食糧を求めて一人戦場を歩き続け、意図しなかった殺人、不意の戦闘、死体の山、疲労、病、周囲の物全てに追い込まれながら歩き続ける。やがて瀬戸際の瀬戸際に追い込まれた彼は合流した仲間に「猿の肉だ」と言われ人肉を差し出される。彼はそれを食べるのか、食べないのか。

 

 

僕は市川監督版を観ていないし、戦争映画って言うと『フルメタル・ジャケット』や最近のだと『アメリカン・スナイパー』ぐらい、どこまで含めていいかはわからないけど『アンネの日記』や『意志の勝利』『我が教え子、ヒトラー』とかぐらいで、あまり多く観ているとは思えない感じの人間だ。

 

それでも、もし野火が「戦争は駄目なんだ」って言ってるだけの反戦映画になっていたらやだな、という思いはあって観た。

 

そうはなっていなかった。僕が原作を読んだ時に面白いなと感じた、「ただただとぼとぼ歩いているだけのひ弱な肉体を持つ一人の男(時々兵士)」を描いていた。小説で言えば一人称、とても主観的な描写をされていたのだ。

 

ずっと田村の視点で映画は展開され、例えば空撮的に戦場を映すシーンは一つもない。鬱蒼と茂るジャングルの中を、蛆が湧き、汚れきった兵士達が己の身体を引きずりながら進む。圧倒的な戦力差の中で殺され続け、逃げ、殺し、病み、飢え、人肉食という狂気に突き進む彼らを淡々と田村の視点で映し続ける。だから彼が狂ったと思えば世界は狂う。狂った彼を遠巻きに眺める観客の視点は持ち込めないのだ。

地べたしか映さない戦争映画は本当に恐ろしい。というか、見た事がない。「私はそこに居ない」と安心出来ない。這いずり回る田村に徐々に引きずり込まれてしまうから。

 

だから人肉食のシーンになっても、むしろこれはある種当たり前の事、正常な事なんじゃないかと思える程だった。ゴア描写のキツイ死体だらけの場所で平気な顔している彼らの事も別に変だとは思えなくなる。火が欲しいという理由から始まり、村人の女を射殺してしまった彼が火を見る度に女を思い出すのも。それを狂気と言い切れない事も。

 

この映画は明確な敵は描写されないし、ゴールもあやふやだし、いつ終わるかもはっきりとしない。原作を読んでいない、歴史も知らない人が見たら戦争映画と呼べるか際どいラインだ。ただのゴア描写満点の映画になってしまうかもしれない。でもそれでいいと思う。野火が面白いのは極限状態に追い込まれた主人公の思考の描写――自分も狂っているかもしれないのに、一歩引いた所でさも狂っていないかのように語り続ける――だからだ。これは『俘虜記』でも思った事だけど。

 

原作と映画で一番違うのは美しいフィリピンの空と海、緑だろう。かなり意識的に美しい自然が映されている。田村は実は物凄く綺麗で美しい世界に居る、そう世界は美しいのだ。だが田村に密着したカメラは地獄絵図を描き続け、田村は地獄に居る。

  

彼らは狂っているのにある程度正しいと思えるし、その戦いに意味はあるはずなのにそうは思えない。何もかもが同じ所に乗せられて、いつの間にか狂ってる。

 

それが、物凄い綺麗な世界で行われている。多分、僕たちもそういう綺麗な世界に生きている。

 

よくある戦争映画として観ない方がいい。勇気への称賛も、悲劇への同情も、戦場の絆への賛美も何もない。ただ男が歩いている。徒労感と狂気と意味の無さと空腹と痛みと共に。田村は多分、そこから消えない火を持ち帰った。それは今もこちら側にあり、ジャングルの茂みと地続きになっている。狂った世界に置いてきたわけではないのだ。元からそんな世界はないのだから。

 

気付けば僕も歩いている。ジャングルの中を。

 

良い映画でした。

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

これほどまでにタイトル通りの作品は観た事がないっす。マジでマッドマックスだった。


映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』予告編 - YouTube

 

この予告編にある通り、「生きる」事が主題の感動ヒューマンストーリーなわけがなく、お金を大量に注ぎ込んで頭のイッちゃった世界を作り出した全員狂ってるとしか言いようがない映画です。

 

一応、核戦争で荒廃した世界で力こそが全てと化した中、家族を失い一人さすらう主人公マックスと、圧制から逃げ出そうとする女性達が、支配者イモータル・ジョーに抗うというストーリーがあります。一応。

 

最高に面白かった。いちいち言葉で説明するのが面倒なくらい最高。

 

個人的なお気に入りは、爆走するトラックの荷台部分でウォー・ボーイズ(戦闘員)が太鼓を打ち鳴らし、前で火を噴くギターをかき鳴らしながら絶叫し主人公マックス達を追いかける敵の集団。最高にハイって奴でした(言葉で伝えられないのが悲しい)

 

この映画はディスるなら「何だこのクソ映画は!」と言って前の座席を蹴り飛ばし映画館を後にし、褒めるなら「何だこのクソ映画は!」と言って前の座席を蹴り飛ばしながら映画館を出るのがよろしいかと思います。

 

何だこのクソ映画は!

『たまらん! メチャクチャな青春ラブコメに巻き込まれたけど、生まれてきてよかった。』を読んだ

滅茶苦茶長いタイトルだった

 

 高校に入って最初の春休み。余命一週間と宣告された“たまらん”こと玉木走太。幼馴染の親友三人から「生まれてきてよかったと思えることをしまくろう」と提案され、みんなでがむしゃらに遊びまくる。そして七日目、三人が連れてきたのはたまらんの憧れる学校一の美少女・月形嬉々。気を利かせて二人きりにされてしまい、思わず緊張するたまらん。夢のようなひとときは瞬く間に過ぎ、たまらんは嬉々と最期のキスをする――――――。だが誤診!! 再びみんなと、何より嬉々と会える!と喜ぶたまらんを、しかし嬉々は超過激に冷たくあしらうのだった。えっ? なんで!? そして始まるたまらんの多角関係青春ラブコメ『たまらん!』お待たせ!!

 

という事なんですが、文章が滅茶苦茶独特でした。これ狙ってやっていないのだとしたら才能としか言いようがない。狙ってやってても才能としか言いようがない。これは才能。

表紙の女の子の話し方に違和感感じるけど、地の文はそれどころじゃない感じ。

 

で、多角関係ラブコメなんですが、もう登場人物が全員片思いしていて誰が誰に恋してるのかむしろこれ本当に恋なのかレベルでわけがわからないくらい多角形になってしまっています。それが形作られるのが今巻。

 

筆者は字の文が面白くて最後まで読めたけど、これは人を選びそう。主人公が良い人なんですが、動機づけがとても上手い。「死ぬ前の一週間を最高にハイにしてくれた幼馴染たちの恋を手伝う」っていうのがキュンときますね。後お母さん(褐色のボディービルダー)の挿絵がないのが残念でしょうがなかった。

 

絵はもう最高(大事なので最後にry)

 

忘れないうちに次が出たら読みたいです!

 

『絶深海のソラリスⅡ』を読んだ

一年ぶりの刊行でした。エターならなくてよかった。

 

絶深海のソラリスII (MF文庫J)

絶深海のソラリスII (MF文庫J)

 

 “ランド・デイ”それは、上陸の日。そして、大海害と並ぶ人類史上最大の災悪が始まった日でもある。『大阪事件』以降その存在が明らかになった未知の危険深海生物アンダー。連邦海軍対アンダー専門の特殊部隊“CHAF”に所属するシャロン=ナイトレイは、深い海の底で死の危機に瀕していた。しかし、その時不意に声が聴こえる―「“最愛の妹”の死の真相を知りたくはないか?」と。シャロンを助けた謎の人物はさらに彼女に告げる。我々の任務は「“切り札”山城ミナトを確保すること」だと。“深海”ד絶望”戦慄の本格パニックノベル待望の第2巻

 

ハリウッド映画的なパニックをラノベキャラでやっちまいやがった前巻(褒め言葉)は「Oh……救いねぇ……」というエンドでしたが、第2巻もそんなスメルをプンプンさせながら物語が流れていきます。マジでこれまたやっちゃうの?って思いながら読んだんですが、今巻はそれをいい意味で裏切られました。

 

クロエのお姉ちゃんにして山城の同級生が新ヒロインとして出てきますが(表紙の女の子)、重たい過去を背負った二人の会話は重々しいです。少しこの辺りが読んでいてアレな気分になるかもしれません。でもそれがいい。正面から向き合って解決していってほしい。それをラノベで、パニックムービー仕立ての筋書でやってくれちゃってるのがこの作品の最高に良い所なので。

 

グロいから映像にはならないだろうけど、映像で見たら面白いだろーなーと思いながら読んでました。

 

上質なB級作品。長続きするような作品ではないと思いますが、次巻もぜひエターならないでお願いします!