眠るまでに見た夢のこと

眠るまでに眼に映った事聞いた事、読んだ本やった事行った所思った所を書きます。時々、眠った後に思ったことも書きたい(願望)

「この恋と、その未来。 ―二年目 春夏―」を読んだ

波に乗るとシリーズは続けて読めますね。

 

 二年への進級と共に、それぞれ第二寮の個室へ移った四郎と未来。新入生の梵七施の噂から三好と付き合っていることを公にした四郎は、少しずつではあるが、気持ちを未来から三好へ向けていく。そんな夏のある日、未来は山城に自分の秘密を打ち明けると四郎に告げる。心の底では山城が未来を受け入れることを怖れながらも、ただ一人の親友として未来の決意を応援し、自分は三好を含めた友人達と夏の夜を楽しもうとする四郎だが…。揺れ動く、第四幕。

 

との事。前作の記事はこちら

 

sjuuuuran.hatenablog.com

 

やっぱり無理は身体によくないんですよ。クズがクズじゃないようにふるまってもクズになってしまうのは仕方がないことなんですよ(ゲス顔)、と一読者クズが言っても主人公の気持ちは晴れないですよね。

 

四郎の持つ「好きな人に迷惑をかけたくないから諦める」「絶対一緒に入れない好きな人の代わりにこの人と一緒になる」っていうのは誰もが持つものだと思うし、それが尾を引いて乱れてしまうのもおかしな事では無い。つらつら理屈を並べ立ててしまえばこれだけの事なんですが、やっぱり当事者の中じゃわだかまりにイラつきや葛藤や悶えなんかがあるわけで、それはつまり彼らが人間だからだし僕も人間だからなんですよね。

この作品は主人公の四郎が好きな相手がトランスジェンダーである事がちょこっと話題になったけど、そこよりやっぱり「好きな人と一緒になれないのが苦しい」って青春群像をとても面白く書いてるという所でこの作品って評価されるべきなんだと思います。

 

もちろん未来のヤケクソの叫びや要のトランスジェンダーを目にした率直な吐露も白眉です。なんていうの? 脱臭されてないって言ったら良いのでしょうか。僕たちが無意識に脱臭してる生身が突きつけられるっていうか。

僕はラノベの定義に無知なのでラノベっぽくないという単語は使いませんが(そもそもラノベってそういうのから一番遠い物であって欲しいと思ってるし)、個性の光ってる作品だと思います。

 

文章も落ち着いていて読みやすいし、このシリーズとても好きです。どうなるかわからないけど、四郎が幸せになれる所が見つかると良いなと思います。

(毎度毎度売上がギリギリっぽいあとがきにはひやひやします)

 

では。

 

 

 

「この恋と、その未来。 -一年目 冬-」を読んだ。

最近更新すると言えばすっかりラノベの読書歴になってる。意図的にやっている節はあるような無いような。

 

 冬休みに入り、未来とともに帰省することになった四郎。姉達への恐怖に加え、三好に対する申し訳なさを抱え東京に戻った四郎だが、彼以上に家庭不和な未来が家を飛び出してきて、松永家で一緒に年越しを迎えることに。以前とは少し変わった家族と、父の誘いで出会った西園幽子達と賑やかな日々を過ごし広島へ帰った四郎は、西園の恋人である三並や広美の言葉に自分の不甲斐なさを痛感し、未来への気持ちを断ち切る決心を固めるが…。待望の第三幕。

との事。

前巻を読んだ時の感想はこっち。

 

sjuuuuran.hatenablog.com

 

好きではない人、少なくとも一番好きではない人と付き合うというのはかなり酷い行為であって、それが酷いと自覚しながらもやってしまってる主人公の心理描写は丁寧に書かれていて、共感できるというか、納得しちゃう。恋は堕ちていく物なんですね。

成長していくにつれて今まで嫌いで仕方なかった家族への態度にも徐々に変化が見られたりしていて、静かにだけれども確実に物語が動いているなと思いました。

 

離れようと思った主人公、偉い。多分挫折するんだろうけど偉い。痛みを伴いながら頑張ろうとする主人公を応援したいです。クズだけど。クズだから良い。

そして彼がクズであればあるほど三好さんが可愛くて可哀想になっていくのがまた良い。読んでいてゾクゾクする。これは俺がクズい。

 

次も楽しみです。

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそ実力至上主義の教室へ 3」を読んだ。

年の瀬に更新してから一か月。あっという間の一か月でした。

 

 季節は夏。期末テストを乗り越え夏休みを迎えた清隆たちに高度育成高等学校が用意していたのは、豪華客船による2週間のクルージングの旅だった。喜ぶ面々だったが、完全実力主義の学校が単なる旅行を計画するわけもなく、船は無人島に到着。そこで本年度最初の特別試験―無人島でのサバイバルが通達される。生活物資は試験用に与えられたポイントで購入可能。だが試験終了まで保持したポイントは2学期からの学校生活にプラスされるという。上位クラスとの差を埋めるため、最底辺のDクラスはポイントの不使用を画策、サバイバルな生活に乗り出そうとするが、特別試験は甘いものではなく―!?大人気クリエイターコンビが贈る、新たな学園黙示録第3弾!?

 

との事。

暁の護衛』の衣笠さんらしさが強く出始めたという感じでしょうか。一巻から追いかけて来て一番面白い巻でした。

 

無人島でのサバイバルとの事で、学校から舞台が移り、各クラスの個性のある生徒達が徐々に増えてきました。皆裏に物凄い一物隠し持ってそうでやばい。純粋なバカっていうのが主人公のクラスにしかいない気がする。佐倉ちゃん可愛い。

また、設定されたサバイバルルールもトリックやひっくり返しに上手く使われていて終盤に駆けて盛り上がっていく構成も良かったです。一之瀬ちゃん可愛い。

 

主人公の極端な内面も一部明かされ、実力を隠してるだけの俺TUEEE主人公から変貌しようとしています。

その一部からの勝手な憶測ですけど、力でねじまげられた主人公が成長し、ねじまげられた力その物を使って強者に復讐しようとする物語。つまり同害報復というか父殺しの欲望というか。そういうすごい強い欲望を持った主人公だと思います。「力こそ全て」って言う世界観、嫌いじゃないです。

だからこれからどうなるのか期待。どんでん返しやあっという仕掛けが合わさるとバツグンに面白くなる物語なので、ぜひかっこいい俺TUEEEをこれからも。

 

 

絵は相変わらずの美しさ。ゲームで読みたいと思っちゃう。

前作の記事はこっち。 

sjuuuuran.hatenablog.com

 では~

 

 

 

『灰と幻想のグリムガル level.7 彼方の虹』を読んだ

年の瀬。晦日。やる事はあんまり変わってないです。読んで、書いて、的な。

 

灰と幻想のグリムガル level.7 彼方の虹 (オーバーラップ文庫)

灰と幻想のグリムガル level.7 彼方の虹 (オーバーラップ文庫)

 

 『黄昏世界』から脱出したハルヒロたちは、グリムガルとも異なる『太陽の昇らない世界』にへと足を踏み入れた。なんの情報もないまま、それでも仲間を率いるハルヒロ。幸いなことに、異界の住民たちが住み着く村を発見し、ひとまずの安全を確保できたものの、過酷な環境に問題は山積みだった。更に最も必要とする「グリムガルに帰る方法」はまだ手がかりさえも見つからない。
自分たちは帰ることができるのか、そして時たま頭をよぎる本当に『帰る』場所は違うところなのでは、という感覚。様々な想いを胸に抱きつつ、ハルヒロたちは、異界の探索を進めていく。灰の中をさまよい、行き着く先には――

 

との事。過去記事はこちら。

 

 

sjuuuuran.hatenablog.com

第七巻まで来ましたが、ハルヒロ達は異世界の異世界に行ってしまいます。

ゲームで行ったら特別ステージ? 陽の昇らない世界という事で、今まで以上にハードモードになってますね。

身振り手振りでコミュニケーション取ったり、死体あさりというか、ゴミ漁りみたいな事もして生きていきます。

それが面白いのは、やっぱり主人公達の等身大の悩みが読んでいて楽しいからなんでしょう。ハルヒロの恋愛もちょっと進展あった? し、ハルヒロ以外のクザクや、シホルの成長も描かれていて、うわあ頑張ってるんだなぁと、応援したくなってきます。世界の謎も少し匂わされてます。死なないでね……

 

全く終点がどうなるのかわからない世界ですけど、少しずつ成長してレベルアップする主人公達、頑張って乗り越えていって欲しいです。

 

 

 

……ララとノノとか、一体何がどうなってあんな風になってんのやろ? 案外今までのキャラで一番すごくない?(独り言)

 

 

 

 

『灰と幻想のグリムガル level.6 とるにたらない栄光に向かって』を読んだ

最近全然ラノベ読んでませんでしたね。

 

 「目標はもう決まったわけだろ? それなのに、帰るってどういうこと?」
ハルヒロたちとトッキーズが発見した「黄昏世界」は新たな狩場として注目を集めていた。
ハルヒロたちも、以前は逃げるしかできなかった白い巨人を撃退し、安定した稼ぎを得られるまでになっていた。
しかし、あるクランの行動がきっかけで「黄昏世界」の危険度が跳ね上がってしまう。
そんななか、以前に加入した「暁連隊」のリーダーであるソウマと再会したハルヒロたちは、なし崩しに複数のクランが参加する、大規模なミッションに加わることになる。
精強な義勇兵たちと共に戦うことで、ハルヒロは何を見て、何を思うのか――

 

との事。ちなみに前作の時に書いたのはこちら

 

sjuuuuran.hatenablog.com

 はや六巻。アニメ化も決まり、とても盛り上がっているような気がします。

いつも通りの死にかけの辛い旅が続きますが、前半はハルヒロの恋物語みたいになっています。モテ……てるのか? 振られてるのか? いまいちよくわからないけど、頑張ってリーダーやってるハルヒロにはとても幸せになってほしい。

 

キャラの描写っていうか声? 心の声? の書き方がとても面白くて読みやすいですね。つらつら書き流している感じなんですが、頷けるって言うか、主人公の平凡さがよくわかる。そういう主人公が頑張ってるので応援したくなります。

後描写。「どどどどどどどどど」とか「どっしゃーん」っていうレベルの描写が時々出てくるんですけど、全然違和感ないって言うか、読みやすいっていうか。

また、等身大の主人公達ですが、この巻ではソウマを始め、滅茶苦茶強い義勇兵たちも出てきます。ここで「俺も目指そう」ってならないのがグリムガル。「頑張って、生き残る」が目標。でもこういう奴が生き残ったりするんだよなぁ(願望)

 

この物語のゴールはまだ見えないですけど、もう皆死なないで欲しいなぁ……とか、まあ無理なんだろうけど。次巻も楽しみです。

 

「青春ブタ野郎はおるすばん妹の夢を見ない」を読んだ

私は鴨志田さんの作品はこのシリーズだけなんですが、多分ちょくちょく前作(さくら荘)のキャラ達が出てますね。おそらく(あいまいな印象)。

 

 

 

おうち大好き妹から重大発表!
お兄ちゃんのためにお留守番卒業!?な、シリーズ第5弾!

中間試験間近のこの日、咲太は朝からあることに悩まされていた。
『明日、七里ヶ浜の海で会えないかな、翔子さんより』
初恋の相手、翔子から手紙が届いたのだ。しかも咲太は、おつきあいしている麻衣さんにそのことを話せないでいた。またもやこれは波乱の予感!?
――と思ったら、今度はおうち大好きな妹のかえでから、突然の重大発表が! その内容は「学校に行く」というもの。
いじめが原因で家から出られなくなったかえでが掲げた目標に、咲太は全面協力を決意。麻衣さんもまた力を尽くしてくれることに。しかし、2年間まともに外に出なかったかえでにとって、目標到達への道はなかなか険しく――。
フツーな僕らのフシギ系青春ラブコメ、おうち大好きかえでが「お兄ちゃんのためにお留守番卒業! 」なシリーズ第5弾!

 

との事。

かえでの話にはいつかなるとは思ってましたけど、かえでちゃんの苦悩と主人公の咲太の苦しみが丁寧に書かれていて切なかったです。

咲太は一見よくいる世間を斜に捉えた主人公ですが、斜に曲がってしまったなりに一生懸命に周囲の人と向き合って、逃げない主人公ですね。静かにかっこいいと思います。

うん、静かにかっこいい。静かって何だろう。

 

思春期症候群という物に悩まされる高校生たちのお話なんですが(心の悩みや苦しみが原因で人から見えなくなったり、自分が二人になったりタイムリープしたりしてる)、青春時代の繊細な心理を書くのが上手い作家さんだと思います。

理解されたり、されなかったりする彼らですが、彼らが安らぐ事の出来る場所にたどり着く事が出来ればいいなと思いつつ、次巻を待ちたいです。

 

 

『屍者の帝国』を観た

10月の始めに公開されたと思ったら一カ月で終了。最近って早いんですね。


「屍者の帝国」劇場本予告 - YouTube

 

屍者復活の技術が全欧に普及した十九世紀末、医学生ワトソンは大英帝国の諜報員となり、アフガニスタンに潜入。その奥地で彼を待ち受けていた屍者の国の王カラマーゾフより渾身の依頼を受け、「ヴィクターの手記」と最初の屍者ザ・ワンを追い求めて世界を駆ける―伊藤計劃の未完の絶筆を円城塔が完成させた奇蹟の超大作。

 

原作本の紹介分を抜いてきました。

主人公はワトソン。ホームズの相棒のワトソン君です。護衛のバーナビー、旅の記述者にして屍者フライデー、謎の美女ハダリーと共に世界を駆け巡ります。

 

屍者は発明されてから全世界に伝播しましたが自我はなく、最初の屍者ザ・ワンのみが自我を持ち得た。科学者のワトソン達はその秘密が書かれているであろう「ヴィクターの手記」を巡り旅に出かけ、そこでのグレート・ゲームを描きます(すみませんグレート・ゲームの意味わかってない使ってます)

 

原作との相違としては、一番大きな所は屍者フライデーが主人公ワトソンの親友(場合によってはそれ以上の感情を持っていた)であるという所です。

何分原作を読んだのがかなり前なので再読してからもう一度感想を書き残したいなと思うんだけど、一応備忘的に感想を羅列したい。

 

・絵はもうめちゃくちゃ綺麗。音楽も良し。フランケンウォークも素晴らしい。これだけで価値がある。

スチームパンク的な世界感がすげえ良かった

フランケンシュタイン博士の屍者技術が発達した世界という設定だけでムネがドキドキになる。これだけでこの作品は大勝利だし、この点でこの作品は伊藤計劃が素地を作ったと言いきれる(原作は序盤30pだけしか彼が書いた部分はないのですが)

・フライデーとワトソンの友情が根幹に据えられた。知的探求というより、フライデーともう一度話したいという友情が主人公を突き動かす

・こうしないと二時間で収められなかったのかもしれない

・様々な説明が原作にはあったが、かなりハショってるので原作未読だと最後の展開に追いつけない気がする。というか追いつけない。それを全部絵でカバーしてる。

・Mの最後の台詞が「サイボーグ009」とちょっと被っていた。全世界がどうとか人間の自由とか、そういう話だったんだっけ?

・だがとにかくハダリーが美しい

 

少し詰め込み過ぎなきらいはあったけれど、美しい映像が見れて良かったです。でもどうせワトソンとフライデーの友情に焦点を当てるなら、そこをもっと掘ってほしかったなぁというのが正直な感想です。

友人の屍体と共に魂を求めてアジアをさまようワトソンの苦悩と知的欲求。

ヴィクターの手記をめぐるカラマーゾフの決断。

豪放磊落ながらぽろっと深い言葉を言うバーナビーのかっこよさ。

魂を欲する美女ハダリーとワトソンの絡み。

斬鉄をするブシドーヤマザワと屍者化した大村益次郎(なぜカットしたし。絶対に観たかったんですが)

花嫁を復活させようとするザ・ワンの醜悪だが純粋な慕情

 

もっと欲しかった。面白くないわけじゃない、もっと長く観たかった。出力されるフォーマット(画、音楽、声優)は最高に良かったのでなおさら。

二部作とかにしてもいいから、そんな作品でした。

 

原作読みなおそう。

 

 。