眠るまでに見た夢のこと

眠るまでに眼に映った事聞いた事、読んだ本やった事行った所思った所を書きます。時々、眠った後に思ったことも書きたい(願望)

「チャリオンの影」を読んだ

半ばラノベ読書記録とかしていますが、今回はファンタジー。

 

チャリオンの影 上 (創元推理文庫)

チャリオンの影 上 (創元推理文庫)

 

 戦の末に敵国の奴隷となり、身も心もぼろぼろになって故国に戻ってきたカザリル。運良く少年の頃に仕えたバオシア藩で、国主の妹イセーレの教育係兼家令に任ぜられた。だが、イセーレが弟と共に宮廷に出仕することになったため、カザリルも否応なしに陰謀の渦に巻き込まれることに…。五柱の神々を崇める国チャリオンを舞台にした、ビジョルドの異世界ファンタジー三部作開幕。

 

との事。

この筋書きでドキドキするかが分かれ目なんですが、僕はとてもドキドキしました。衝動買いしましたが、買った甲斐があった。

 

元々SF畑の作家という事ですが、とても練られている世界観は「浸る」という表現がぴったりで、とても面白いです。ディティールに凝ってる。一言で説明してしまうのも良いですが、ちゃんと書いていくスタイルも小説にしか出来ない「緩やかさ」みたいな物があって良い。

 

中世のスペインが下敷きになっているとの指摘があり、異教徒の侵攻に晒される内陸の王国が舞台です。決して恵まれた人生を送れなかった主人公が、泥濘を掻き分け生き抜いた経験を武器に旧恩に報いるべく奮闘します。異世界ファンタジー、魔法ありですが、魔法で万事解決というわけでもないです。

この徹底的に地に足ついた世界観がとても欲しい。布や食べ物一つをとっても安定感というか、「それっぽさ」というか。魔術の儀式のシーンなど見た事もないのに「これは人を殺せそうだ」とか思えます。後、女性陣がとても逞しい。男なりせば、なんて言葉もありますがこの物語では女性がとにかく逞しく美しいです。久しぶりのファンタジーでしたが、とても楽しい読書でした。

 

では~

 

 

「ファンダ・メンダ・マウス」を読んだ

ずっと積んでた一冊を読めると嬉しい気分になりますね。

 

ファンダ・メンダ・マウス (このライトノベルがすごい!文庫)

ファンダ・メンダ・マウス (このライトノベルがすごい!文庫)

 

 おれはマウス。しみったれた倉庫でくそったれなAIシステム相手に終日ダラ~っと、家に帰ればネーネがべったり。そんな毎日。でも、おれは今の自分にかなり満足。いい女はべらして万ケンシャンパンドンペリジャンジャンBMベンツにPMゲッツーみたいなことが必要だとは思わない―のに!「嫁に!」とか言い出すジャリ娘の登場から怒涛の急展開だよ!独特で中毒性の高い文体、鳥肌ものの展開。全選考過程で物議を醸した作品が登場!第1回『このライトノベルがすごい!』大賞栗山千明賞受賞。

 

との事。

紹介文でも一部雰囲気が伝わってくるけれど、とてもリズミカルな文章で書かれている。かなり荒っぽくて、粗雑な文体。でも、その文体がストーリーを形作っている。文体がストーリーを作ってるという事で、ラノベではかなり奇異で強烈な個性を持つ作品だと思う。この文体で静かなストーリーなど展開出来ないと思います。

 

そんな中に 急に真面目に挟み込まれる主人公の母の言葉、というか箴言が物語の全て。

主人公マウスは孤児の自分を助けてくれた母(故人)の言葉を忠実に守る「原理主義者(ファンダメンタリスト)」。

言葉を絶対に裏切らないマウスに惹かれてか、周りに人がドンドン集まってくる、バンバン依存しあう、ジャンジャン傷つけあう。登場人物は皆マウスの事が好き。多分彼は皆にとって「原理(ファンダメンタル)」で、彼の言葉が全部なんだろう。特にミチルの0と1の世界から色を持った――もういいや、めんどくさい。ストーリーに意味ほとんどないだろうし! みたいな気分になる作品。

 

 

この文体が合うかどうか、この作品はもうそれだけにかかってて、僕は結構好きでした。

では~

 

 

「この恋と、その未来。 ―二年目 春夏―」を読んだ

波に乗るとシリーズは続けて読めますね。

 

 二年への進級と共に、それぞれ第二寮の個室へ移った四郎と未来。新入生の梵七施の噂から三好と付き合っていることを公にした四郎は、少しずつではあるが、気持ちを未来から三好へ向けていく。そんな夏のある日、未来は山城に自分の秘密を打ち明けると四郎に告げる。心の底では山城が未来を受け入れることを怖れながらも、ただ一人の親友として未来の決意を応援し、自分は三好を含めた友人達と夏の夜を楽しもうとする四郎だが…。揺れ動く、第四幕。

 

との事。前作の記事はこちら

 

sjuuuuran.hatenablog.com

 

やっぱり無理は身体によくないんですよ。クズがクズじゃないようにふるまってもクズになってしまうのは仕方がないことなんですよ(ゲス顔)、と一読者クズが言っても主人公の気持ちは晴れないですよね。

 

四郎の持つ「好きな人に迷惑をかけたくないから諦める」「絶対一緒に入れない好きな人の代わりにこの人と一緒になる」っていうのは誰もが持つものだと思うし、それが尾を引いて乱れてしまうのもおかしな事では無い。つらつら理屈を並べ立ててしまえばこれだけの事なんですが、やっぱり当事者の中じゃわだかまりにイラつきや葛藤や悶えなんかがあるわけで、それはつまり彼らが人間だからだし僕も人間だからなんですよね。

この作品は主人公の四郎が好きな相手がトランスジェンダーである事がちょこっと話題になったけど、そこよりやっぱり「好きな人と一緒になれないのが苦しい」って青春群像をとても面白く書いてるという所でこの作品って評価されるべきなんだと思います。

 

もちろん未来のヤケクソの叫びや要のトランスジェンダーを目にした率直な吐露も白眉です。なんていうの? 脱臭されてないって言ったら良いのでしょうか。僕たちが無意識に脱臭してる生身が突きつけられるっていうか。

僕はラノベの定義に無知なのでラノベっぽくないという単語は使いませんが(そもそもラノベってそういうのから一番遠い物であって欲しいと思ってるし)、個性の光ってる作品だと思います。

 

文章も落ち着いていて読みやすいし、このシリーズとても好きです。どうなるかわからないけど、四郎が幸せになれる所が見つかると良いなと思います。

(毎度毎度売上がギリギリっぽいあとがきにはひやひやします)

 

では。

 

 

 

「この恋と、その未来。 -一年目 冬-」を読んだ。

最近更新すると言えばすっかりラノベの読書歴になってる。意図的にやっている節はあるような無いような。

 

 冬休みに入り、未来とともに帰省することになった四郎。姉達への恐怖に加え、三好に対する申し訳なさを抱え東京に戻った四郎だが、彼以上に家庭不和な未来が家を飛び出してきて、松永家で一緒に年越しを迎えることに。以前とは少し変わった家族と、父の誘いで出会った西園幽子達と賑やかな日々を過ごし広島へ帰った四郎は、西園の恋人である三並や広美の言葉に自分の不甲斐なさを痛感し、未来への気持ちを断ち切る決心を固めるが…。待望の第三幕。

との事。

前巻を読んだ時の感想はこっち。

 

sjuuuuran.hatenablog.com

 

好きではない人、少なくとも一番好きではない人と付き合うというのはかなり酷い行為であって、それが酷いと自覚しながらもやってしまってる主人公の心理描写は丁寧に書かれていて、共感できるというか、納得しちゃう。恋は堕ちていく物なんですね。

成長していくにつれて今まで嫌いで仕方なかった家族への態度にも徐々に変化が見られたりしていて、静かにだけれども確実に物語が動いているなと思いました。

 

離れようと思った主人公、偉い。多分挫折するんだろうけど偉い。痛みを伴いながら頑張ろうとする主人公を応援したいです。クズだけど。クズだから良い。

そして彼がクズであればあるほど三好さんが可愛くて可哀想になっていくのがまた良い。読んでいてゾクゾクする。これは俺がクズい。

 

次も楽しみです。

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそ実力至上主義の教室へ 3」を読んだ。

年の瀬に更新してから一か月。あっという間の一か月でした。

 

 季節は夏。期末テストを乗り越え夏休みを迎えた清隆たちに高度育成高等学校が用意していたのは、豪華客船による2週間のクルージングの旅だった。喜ぶ面々だったが、完全実力主義の学校が単なる旅行を計画するわけもなく、船は無人島に到着。そこで本年度最初の特別試験―無人島でのサバイバルが通達される。生活物資は試験用に与えられたポイントで購入可能。だが試験終了まで保持したポイントは2学期からの学校生活にプラスされるという。上位クラスとの差を埋めるため、最底辺のDクラスはポイントの不使用を画策、サバイバルな生活に乗り出そうとするが、特別試験は甘いものではなく―!?大人気クリエイターコンビが贈る、新たな学園黙示録第3弾!?

 

との事。

暁の護衛』の衣笠さんらしさが強く出始めたという感じでしょうか。一巻から追いかけて来て一番面白い巻でした。

 

無人島でのサバイバルとの事で、学校から舞台が移り、各クラスの個性のある生徒達が徐々に増えてきました。皆裏に物凄い一物隠し持ってそうでやばい。純粋なバカっていうのが主人公のクラスにしかいない気がする。佐倉ちゃん可愛い。

また、設定されたサバイバルルールもトリックやひっくり返しに上手く使われていて終盤に駆けて盛り上がっていく構成も良かったです。一之瀬ちゃん可愛い。

 

主人公の極端な内面も一部明かされ、実力を隠してるだけの俺TUEEE主人公から変貌しようとしています。

その一部からの勝手な憶測ですけど、力でねじまげられた主人公が成長し、ねじまげられた力その物を使って強者に復讐しようとする物語。つまり同害報復というか父殺しの欲望というか。そういうすごい強い欲望を持った主人公だと思います。「力こそ全て」って言う世界観、嫌いじゃないです。

だからこれからどうなるのか期待。どんでん返しやあっという仕掛けが合わさるとバツグンに面白くなる物語なので、ぜひかっこいい俺TUEEEをこれからも。

 

 

絵は相変わらずの美しさ。ゲームで読みたいと思っちゃう。

前作の記事はこっち。 

sjuuuuran.hatenablog.com

 では~

 

 

 

『灰と幻想のグリムガル level.7 彼方の虹』を読んだ

年の瀬。晦日。やる事はあんまり変わってないです。読んで、書いて、的な。

 

灰と幻想のグリムガル level.7 彼方の虹 (オーバーラップ文庫)

灰と幻想のグリムガル level.7 彼方の虹 (オーバーラップ文庫)

 

 『黄昏世界』から脱出したハルヒロたちは、グリムガルとも異なる『太陽の昇らない世界』にへと足を踏み入れた。なんの情報もないまま、それでも仲間を率いるハルヒロ。幸いなことに、異界の住民たちが住み着く村を発見し、ひとまずの安全を確保できたものの、過酷な環境に問題は山積みだった。更に最も必要とする「グリムガルに帰る方法」はまだ手がかりさえも見つからない。
自分たちは帰ることができるのか、そして時たま頭をよぎる本当に『帰る』場所は違うところなのでは、という感覚。様々な想いを胸に抱きつつ、ハルヒロたちは、異界の探索を進めていく。灰の中をさまよい、行き着く先には――

 

との事。過去記事はこちら。

 

 

sjuuuuran.hatenablog.com

第七巻まで来ましたが、ハルヒロ達は異世界の異世界に行ってしまいます。

ゲームで行ったら特別ステージ? 陽の昇らない世界という事で、今まで以上にハードモードになってますね。

身振り手振りでコミュニケーション取ったり、死体あさりというか、ゴミ漁りみたいな事もして生きていきます。

それが面白いのは、やっぱり主人公達の等身大の悩みが読んでいて楽しいからなんでしょう。ハルヒロの恋愛もちょっと進展あった? し、ハルヒロ以外のクザクや、シホルの成長も描かれていて、うわあ頑張ってるんだなぁと、応援したくなってきます。世界の謎も少し匂わされてます。死なないでね……

 

全く終点がどうなるのかわからない世界ですけど、少しずつ成長してレベルアップする主人公達、頑張って乗り越えていって欲しいです。

 

 

 

……ララとノノとか、一体何がどうなってあんな風になってんのやろ? 案外今までのキャラで一番すごくない?(独り言)

 

 

 

 

『灰と幻想のグリムガル level.6 とるにたらない栄光に向かって』を読んだ

最近全然ラノベ読んでませんでしたね。

 

 「目標はもう決まったわけだろ? それなのに、帰るってどういうこと?」
ハルヒロたちとトッキーズが発見した「黄昏世界」は新たな狩場として注目を集めていた。
ハルヒロたちも、以前は逃げるしかできなかった白い巨人を撃退し、安定した稼ぎを得られるまでになっていた。
しかし、あるクランの行動がきっかけで「黄昏世界」の危険度が跳ね上がってしまう。
そんななか、以前に加入した「暁連隊」のリーダーであるソウマと再会したハルヒロたちは、なし崩しに複数のクランが参加する、大規模なミッションに加わることになる。
精強な義勇兵たちと共に戦うことで、ハルヒロは何を見て、何を思うのか――

 

との事。ちなみに前作の時に書いたのはこちら

 

sjuuuuran.hatenablog.com

 はや六巻。アニメ化も決まり、とても盛り上がっているような気がします。

いつも通りの死にかけの辛い旅が続きますが、前半はハルヒロの恋物語みたいになっています。モテ……てるのか? 振られてるのか? いまいちよくわからないけど、頑張ってリーダーやってるハルヒロにはとても幸せになってほしい。

 

キャラの描写っていうか声? 心の声? の書き方がとても面白くて読みやすいですね。つらつら書き流している感じなんですが、頷けるって言うか、主人公の平凡さがよくわかる。そういう主人公が頑張ってるので応援したくなります。

後描写。「どどどどどどどどど」とか「どっしゃーん」っていうレベルの描写が時々出てくるんですけど、全然違和感ないって言うか、読みやすいっていうか。

また、等身大の主人公達ですが、この巻ではソウマを始め、滅茶苦茶強い義勇兵たちも出てきます。ここで「俺も目指そう」ってならないのがグリムガル。「頑張って、生き残る」が目標。でもこういう奴が生き残ったりするんだよなぁ(願望)

 

この物語のゴールはまだ見えないですけど、もう皆死なないで欲しいなぁ……とか、まあ無理なんだろうけど。次巻も楽しみです。